シンヤだ。今夜は19世紀のフランスから、ちょっと気になる記録を引っ張ってきた。ある家で次々と起きた説明のつかない怪現象なんだが、これがかなり細かく記録されてる。読んでて「ほんとかよ」ってなるやつだから、まあ聞いてくれ。

ポルターガイスト現象の科学的調査|物が動く超常現象の正体

家具が勝手に動く、食器が宙を飛ぶ、壁から音がする——ポルターガイスト(騒がしい幽霊)現象は、世界各地で古くから報告されている。科学はこの現象をどう説明しているのだろうか。

「ポルターガイスト」という言葉の由来

ポルターガイストはドイツ語で、「poltern(騒ぐ・どたんばたんする)」と「Geist(霊・幽霊)」を合わせた言葉だ。直訳すると「騒がしい霊」になる。ドイツやヨーロッパでは中世のころから似たような記録が残っていて、特定の場所で物が動いたり、音がしたりする現象を指してきた。

幽霊といっても、いわゆる「姿を見せる」タイプじゃない。どちらかというと物理的な干渉——叩く、投げる、押す——が中心で、目撃談よりも「被害」が前面に出てくるのが特徴だ。恐怖より先に「不便」が来る、というのが正直なところで、これが普通の幽霊話と少し違う点でもある。

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歴史的なポルターガイスト事件

カルヴァドス城の怪異(1875年・フランス)

冒頭で触れたフランスの記録、これがカルヴァドス城の事件だ。ノルマンディー地方にある城館で、1875年から翌年にかけて起きた現象が、当時の城主によって日記として詳細に記録されている。

夜中に壁を叩く音、廊下を歩くような足音、突然窓が開く、寝ている人間のベッドが揺れる——こういった現象が毎晩のように続いたとされている。住み込みの使用人たちも次々と辞めていき、城主家族は精神的に追い詰められていった。

当時、地元の神父が「悪魔祓い」を行ったが、現象は収まらなかった。やがて一家は城を去り、そのまま現象は自然消滅したとされる。城主の日記はかなりの分量で、感情的な誇張よりも観察記録に近い書き方だ。だから後世の研究者にも「信憑性が高い事例のひとつ」と扱われている。

ただし、当時は科学的な調査が入っていない。建物の構造上の問題(配管、木材の膨張収縮)や、家族内の誰かが意図的に起こしていた可能性も完全には否定できない。

エンフィールド・ポルターガイスト(1977年・イギリス)

ロンドン北部エンフィールドのホジソン家で起きた事件は、警察官や研究者を含む多くの目撃者がいることで知られている。家具が動き、物が飛んでくる、少女が空中に浮くといった現象が次々と報告された。ただ、後のBBC取材でベッドの上で跳ねる少女たちの映像が撮影されており、少なくとも一部は意図的に演出されていた可能性が出てきた。全部が嘘とは言い切れないが、「疑わしい部分もある」というのが正直なところだ。

この事件は後に映画「死霊館 エンフィールド事件」の原作にもなった。フィクションとして脚色された部分が多いが、事件の記録自体は今でも議論が続いている。超常現象研究者のガイ・ライアン・プレイフェアが現地に長期滞在して調査した記録もあり、当時の家族が精神的に非常に不安定だったことは複数の証言で一致している。

ローゼンハイム・ポルターガイスト(1967年・ドイツ)

ドイツのバイエルン州ローゼンハイムにある法律事務所で起きた事件は、ポルターガイスト研究の中でも珍しく「科学的な機器で現象が記録された」とされる事例だ。

電話が無人のまま勝手にかかる、電球が何度交換しても割れる、廊下の絵画が自然に回転する——これらの現象が物理学者や工学技術者の立会いのもとで観測され、当時のドイツのテレビでも報道された。

調査の結果、現象は特定の女性従業員アンネマリー・シャベルが近くにいるときに集中して起きることがわかった。彼女が解雇されると現象はぴたりと止まった。後に彼女は「自分でやっていたとは思わない」と述べているが、心理的な影響が何らかの形で物理的な結果を生んでいた可能性を複数の研究者が指摘している。完全な解明はされていない。

ベル・ウィッチ事件(1817年・アメリカ)

アメリカ・テネシー州のベル家農場で起きたとされるこの事件は、アメリカ最古のポルターガイスト記録のひとつだ。家人に対して物が飛んでくる、声が聞こえる、髪を引っ張られるといった現象が数年にわたって続いたとされる。

一家の父親ジョン・ベルは精神的に衰弱し、最終的に死亡した。地域の有力者や当時の大統領(アンドリュー・ジャクソン)も訪問したという記録が残っているが、この部分は後世の脚色が混じっている可能性が高い。事件自体は子孫が書いた記録をもとに広まったもので、一次資料の信頼性に疑問が残る。

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科学的説明

焦点人物とストレス

ポルターガイスト事件を調べていくと、思春期の子ども——特に女の子——が絡んでいるケースが多い。心理学者はこれを「焦点人物」と呼ぶ。家庭内のストレスや、誰かに気づいてほしいという心理が、こうした行動を引き起こすと考えられている。意識的な嘘をついているケースもあれば、本人も気づかないうちにやっているケースもあって、一概には語れない。

精神医学的には「解離性障害」との関連を指摘する声もある。強いストレス下で、自分の行動の記憶が飛んでしまうケースがあり、当人には「やった覚えがない」という感覚が残る。周囲から見れば超常現象に見えても、本人の無意識的な行動だったというパターンだ。

建物の構造と物理的な誤認

「壁が鳴る」「床が揺れる」という現象の多くは、建物の構造的な問題で説明できる。配管の水圧変化、木材や金属の熱膨張収縮、地盤の微細な動き——こういった要因が組み合わさると、人間が「何かいる」と感じるような音を出すことがある。

特に古い建物では顕著だ。築100年超の家屋では、夜間の温度低下にともなって構造材がきしむ音が出やすい。日中の騒音にかき消されて気づかないが、静まった深夜に聞こえると「ノック音」「足音」に聞こえることがある。

低周波音と人体への影響

20Hz以下の低周波音——人間の耳には聞こえないが体で感じる振動——が、不安感や恐怖感、「何かがいる感覚」を引き起こすことが実験で示されている。大型施設の換気システムや工場、特定の気象条件下で発生しやすく、原因がわからないまま「怪現象」として報告されることがある。

イギリスの物理学者ヴィック・タンディは、自身の研究室で「幽霊の存在感」を覚え、調査したところ低周波音の発生源を発見した。周波数が眼球の共鳴に影響を与え、視野に「何かが見えた気がする」という感覚を生むこともあるという。

電磁場と幻覚

神経科学者のマイケル・パーシンガーは、特定の電磁場が脳の側頭葉に作用すると「人の存在感」「霊的な体験」が生まれる可能性を研究した。いわゆる「ゴッド・ヘルメット」実験として知られ、論争を呼んだ研究だ。再現性に疑問が呈されてはいるが、電磁場と知覚の関係は今でも研究が続いている。

古い家屋では電気系統の不具合から局所的な電磁場が発生することもある。科学的調査が入ったポルターガイスト案件の一部で、電磁場の異常が計測されたケースがあることも事実だ。

証言・目撃者はどう語っているか

「信じていなかった自分が変わった」という声

欧米の超常現象研究者が集めた証言の中に、「最初は絶対に信じなかった」という人間が体験者になるケースが繰り返し出てくる。懐疑論者として調査に参加し、自分が現象を目撃して言葉を失った、という研究者の記録も残っている。

エンフィールド事件を調査した超常現象研究学会(SPR)のモーリス・グロスは、当初は慎重な立場だった。しかし長期間調査を続けるうち、「説明のつかない現象が確かにあった」という結論に傾いていった。彼が証拠として持ち帰ったテープ録音は今でも議論の対象になっている。

一方で、心理学者側からは「長期間その環境にいることで調査者自身がバイアスにかかった」という指摘もある。見たいものを見てしまう、という人間の認知の特性だ。

子どもの証言の扱い

ポルターガイスト事件で困るのが、証言の中心が子どもであることだ。子どもの証言は大人より信頼性が低いとされる面もあるが、逆に「作り話をするメリットが薄い」という見方もある。

エンフィールドのジャネット(当時11歳)は大人になってから「すべてが本当ではなかった」と認めている。しかし「一部は本当に起きた」とも述べている。この「一部」がどこなのかは、誰にも証明できない。

ポルターガイストの何が怖いのか

「誰かに選ばれた」という感覚

幽霊屋敷は場所に紐づいているが、ポルターガイストは人間に紐づいていることが多い。特定の人間が引っ越しても現象が続く、という報告がある。つまり「その場所が怖い」じゃなく「自分に何かがついている」という状況になる。これが怖さの本質だと思う。

場所から逃げられる恐怖と、自分から逃げられない恐怖——後者のほうがずっとしんどい。

記録が残るほど長く続く

ポルターガイストの事例は、1日で終わるものじゃない。カルヴァドスは1年以上、エンフィールドは14ヶ月、ベル・ウィッチに至っては数年だ。毎日その環境で生活しながら、現象が続く。それが家族の関係を壊し、精神を追い詰めていく。怖さより消耗が来る感じだ。

こういう現象に出会ったら

まず建物を疑う

夜中に音がする、物の位置がずれる——こういった現象が起きたとき、霊より先に建物を疑ったほうがいい。配管業者や建築士に相談するほうが、たいてい話が早い。特に築古の住宅や、地盤の柔らかい場所では物理的な原因が見つかるケースが多い。

精神的な負荷が高い状況を確認する

家族内でストレスが高い状況——受験、離婚、転職、喪失体験——が重なっているときに起きやすい、という記録が多い。身の回りで似たような現象が起きているなら、家族の誰かが限界に来ていないかをちゃんと見てほしい。気づいていないだけで、追い詰められている人間がいるケースは少なくない。

記録をとる

現象が続くなら、日時・場所・状況を記録しておく。科学的に調査してもらいたい場合、記録があるほど動いてもらいやすい。それに、記録をつけていくと「自分がどれだけ追い詰められているか」が客観的に見えてくることもある。

今わかっていること、まだわからないこと

「すべてが詐欺だ」とは言い切れない。複数の独立した目撃者がいる事例、科学的な機器で何らかの異常が記録された事例が存在するから。ただ「超常現象だと証明された事例」は今のところない。厳密な科学的調査が入ったケースでは、物理的・心理的な説明で大部分が片付いてしまうのも事実だ。

「焦点人物」理論は統計的にある程度の説得力を持つ。しかしすべてのケースに当てはまるわけではない。建物の問題、電磁場、低周波音——これらが組み合わさって「ポルターガイスト」という体験を作り出している可能性は高い。

ただ、「説明のつかない部分」が完全にゼロかというと、正直そうは言い切れない。記録が残っているケースの中には、現時点の科学で説明しきれない要素が残るものがある。これを「霊の仕業」と呼ぶかどうかは個人の判断だが、「わからない」と言える誠実さは研究者にとっても大事だと思う。

ポルターガイストのすべてを詐欺だと断言するつもりはない。ただ、ちゃんと科学的に調査された事例を見ると、大半は心理的な要因か物理的な誤認で説明がついてしまうのも事実だ。それが答えかどうかは、あなた自身が考えてみてほしい。

記録が残ってるってことは、当時の人たちがそれだけ本気だったってことだろうな。信じるかどうかは別として、向き合った人間がいたってのは確かだ。シンヤでした。またな。

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